2020年7月13日に文科省が「中学校への携帯の持ち込み条件付きで許可する方針」を発表した事が話題になっていますね。
別ページでも解説している通り、内閣府統計で2023年時点でも中学生のスマホ所有率は86.3%と9割に迫り、現場での学生間のコミュニケーション手段は「LINE」が定番と、もはや切っても切り離せないところまで来ています。
しかし今までは小学校と同じく中学校でも未だにスマホ・携帯の持ち込みが禁止されていましたが、今回で条件付きで中学校へのスマホ&携帯の持ち込みが解禁へ動きました。
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何が決まったの?学校へのスマホ・携帯持ち込みのルールの「今まで」と「これから」
今までの小中高のスマホ・携帯の持ち込みに関しては以下の通り、
小学校&中学校:禁止」
高校:支障がない前提で学校が決める」
となっていましたが、2020年7月に厚労省が方針を変更すると発表しました。その内容をまとめると、
小学生:引き続き原則禁止とすることが妥当(例外有)
中学校:持込みを原則禁止としつつも、一定の条件のもと、持込みを認めることが妥当
高校:引き続き従前通り、教育活動に支障がないよう配慮することを前提に、各学校において適切に定めることが妥当
と、小学生と高校生は従来通りで変化はありませんが、中学生の携帯・スマホの持ち込みに関しては一定の条件のもと持ち込みを一部認める方針に変更になった事が今回のポイントとなっています。
小学校へのスマホの持ち込みの方針や例外については別ページでまとめています↓
【補足】持ち込みを議論している「携帯電話」の定義
一応補足ですが、今回の議論となった「携帯電話」の範囲・定義としては以下です↓
➀ フィーチャーフォン(いわゆる「ガラケー」)
➁ スマートフォン
➂ 子供向け携帯電話(基本的な通話・メール機能や GPS 機能のみを搭載しているもの)=「キッズ携帯」の事
持込を議論している携帯電話とは「ガラケー(今は4G/ガラホですが)、スマホ、キッズ携帯」の事を指して議論しています。当然ですが連絡や防犯機能が使えても携帯ゲーム機や携帯音楽プレーヤーは当然ですが対象外です。
中学校でスマホ・携帯を持ち込みを認めるための条件って何?
だたし、中学校へスマホや携帯を持ち込める方針になったのものの「一定条件のもと」と条件がついています。
この条件に関して資料に記載されている部分は以下です↓
具体的には、例えば、携帯電話を登下校時の緊急時の連絡手段として活用したいといった保護者の要望があることなどを理由に、学校又は教育委員会として持込みを認める場合、まず、生徒が自らを律することができるようなルールを学校や保護者が協力して作ることについて検討する必要がある。
その上で、一定の条件として、学校と生徒・保護者との間で以下の事項について合意がなされ、必要な環境の整備や措置が講じられていることが求められる。
持込みを認める場合は、校内での使用を禁止したり、登校後に学校で一時的に預かり下校時に返却したりするなど、学校での教育活動に支障がないよう配慮する必要がある。
⑴ 学校における管理方法や、紛失等のトラブルが発生した場合の責任の所在を明確にすること
⑵ フィルタリングが保護者の責任のもとで適切に設定されていること
⑶ 携帯電話の危険性や正しい使い方に関する学校及び家庭における指導が適切に行われていること
つまり中学校に持ち込める条件は以下の3つです↓
条件➀:管理方法や紛失時の責任を学校側が明確化できる事
条件➁:保護者責任でフィルタリングを設定する事
条件➂:スマホ・携帯の危険性や使い方の指導を学校側と保護者側で行う事
1つの目の条件ですが、最近のスマホなどはかなり高額なものも多く、紛失時の責任問題を学校側が取れるのかは後々重要でしょう。またスマホには連絡以外の機能が豊富なので、学校側で完全OKにしてしまった場合学業への支障は免れないでしょう。(こちらは学校側が決めるルール)
2つ目の条件のフィルタリングですが、こちらは保護者側の管理となります。最近は携帯会社でフィルタリングの導入が義務化しているので表面上はそこまでハードルは高くなさそうです。
しかし以下のページでも解説している通り、LINEを含むサードパーティアプリに関してはフィルタリングでは防げなかったり、フィルタリング自体を子供が解除できてしまったりと、これだけで現状のリスクを排除し切れているかと言われると微妙なところだと思いますが。
3つ目の条件は学校側と保護者側の両方にもリテラシーが求められます。なぜなら子供を指導する以上、そのための知識が必要になりますからね。ここは保護者と学校の両サイドで進めて行く部分ではありますが、一番曖昧な部分にも思えます。
親子のスマホのルール決めに関しても以下記事で解説しましたので参考ににどうぞ↓
と、3つの条件について僕の懸念を書いてみましたが、持ち込みで子供の安全面での確認がしやすくなる一方で、2つ目と3つ目の条件で保護者側の負担も多くなりそうですね。
中学校へのスマホ・携帯の持ち込みの再検討が議論された背景
ちなみに今回の中学校へのスマホ・携帯の持ち込みへ方針変更した背景についても触れてみます。
発端は2018年6月に大阪で起こった大阪府北部地震で、その際に大阪府教育庁が「災害時の連絡手段」の他「連れ去りや痴漢などの犯罪に巻き込まれる」といったリスクへの抑止力として、持ち込み禁止の一部解除を実施した事が背景にあります。
それを受けて2019年5月に省内に「学校における携帯電話の取扱い等に関する有識者会議」を立ち上げ、以降専門家などの有識者からのヒアリングをしながら「学校の携帯電話の取扱い等について検討」を進めていました。
つまり今回最も重要視しているのは「登下校中の緊急時の連絡手段」という事になります。
防犯・見守り用の端末に小学校低~中学年向けに「キッズ携帯」が発売されていますが、そもそも中学生の大半がスマホを持っていますからね。
スマホの機能で防犯対策は充分に可能だと思いますが、スマホのそれ以外を推奨している訳ではないのが今回の焦点となっています。
参考:学校における携帯電話の取扱い等に関する有識者会議(令和2年度)(第3回) 配付資料 | 文部科学省
どちらにしても今後中学生のスマホ所有率は更に増加していく事が予想されますので、保護者サイドで準備できる事は増えていきそうです。